日本とアメリカの卵子提供の実情

       

世界には、生まれつき卵巣の機能に異常があり正常な排卵の行われない女性や、若くして閉経してしまった女性が数多くいらっしゃいます。

排卵のある女性であれば、タイミング法、排卵誘発剤、人工授精や配偶者間での体外受精や顕微授精といった不妊治療によって妊娠することも可能でしょう。しかし排卵の無い女性は、自分自身の卵子で受精させることはできないのです。

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このような女性が唯一妊娠できる可能性のある治療法が、卵子提供による体外受精なのです。

卵子提供は、アメリカでは30年以上も前から実践されている不妊治療法で、それ以外の不妊治療で妊娠に至らなかった場合に、代理出産や養子といった選択肢と共に患者さんに与えられる提案です。

しかし残念ながら、日本国内では非配偶者間での体外受精についてはまだ議論が進んでおらず、卵子提供による体外受精の治療を行えるクリニックも数が少ないため、日本国内で治療を受けるのは簡単なことでは無いのが実情です。

そのため卵子提供を望む多くのご夫婦は、エージェントを介して海外での卵子提供プログラムに参加するのです。
卵子提供プログラムは、アメリカやアジアの各国で行われています。

卵子提供による豊富な治療実績を持ち、高度な医療技術と最先端の設備のもとで治療を受けることができるというメリットがあります。

一方で治療期間中は複数回治療先の国へ渡航し、数日間の滞在が必要になるため、治療費とは別にさまざまな費用がかかります。

さらに一度の治療で妊娠に至らなかった場合はさらに渡航と現地での治療を繰り返す場合もあり、その費用負担は相当なものになるでしょう。

そして、無事妊娠に成功して元気な赤ちゃんを授かったとしても、日本は卵子提供によって産まれた子どもとの親子関係に関する法整備が進んではいません。

社会的にもまだまだ理解が浅く、産後も何かと辛い思いをすることが多いかもしれません。

しかし、卵子提供によって産まれたお子様の数は確実に増加しており、卵子提供そのもののニーズも年々増え続けています。
そんな中で国内での卵子提供を可能にしようといくつかの組織が卵子提供の支援活動を始めています。

不妊治療が珍しいものではなくなっている近年、卵子提供も一般的な不妊治療法の一つとして認知される日もそう遠くはないでしょう。

卵子提供に対する社会的なイメージから治療を戸惑っている方、卵子提供によって出産したものの周囲の対応に悩んでいる方、近い将来きっと理解を得られるはずです。

今は出産への希望と、かわいい赤ちゃんへの愛情だけを抱いて心安らかに過ごしてください。