卵子提供でも妊娠できない場合、同種免疫因子による着床障害の可能性があります

       

卵子提供をはじめとする不妊治療は、不妊の原因に応じて最適な治療法を選択することが大切です。
不妊にはさまざまな原因があります。

そのうちの一つに、着床障害があります。
着床とは、受精卵が子宮内膜に張り付くことをいい、着床した時点で妊娠が成立したことになります。

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着床障害は、受精して受精卵が子宮目指して移動するものの、何らかの原因で子宮内膜に結びつかないことを言います。
着床障害の根本的な原因は、現在の医学では特定できていません。

今回はその原因の一つと考えられている、同種免疫因子についてご説明します。

同種免疫因子とは、旦那様のリンパ球に対して奥様の身体が拒否反応を起こしてしまうことです。
これは、ご夫婦のリンパ球が似ていることに原因があります。

リンパ球とは、白血球の一種で免疫を司る血液細胞です。
このリンパ球の型がご夫婦で似ていると、せっかく着床しても奥様の身体がその受精卵を認識しないようにしてしまうのです。

生き物は、異なる特徴を持つ者同士を組み合わせて新たな個体を作り出すことで、どのような環境でも生き抜いていけるように進化しています。

そのため、同じような特徴を持つ者同士から産まれた子供は、身体が不要であると判断して拒否してしまうのです。

卵子提供はほかの不妊治療法と比較しても、高い妊娠成功率を誇りますが、この同種免疫因子を原因とする着床障害の場合には卵子提供でも妊娠することが難しい場合があります。

同種免疫因子による不妊症と診断された場合には、夫のリンパ球を妻に接種することで妻の体内に破断抗体を作り、子宮内環境を整えるリンパ球移植による免疫療法が、有効な治療法とされています。

この治療法による妊娠の成功率は、80%以上あるといわれています。
しかし、同種免疫因子による着床障害は、度重なる流産の末の検査によって判明することがほとんどなので、不妊治療初期の内にこの原因を見つけるのは難しいといわれています。

着床障害の定義は、グレードの高い良好な胚盤胞を複数回移植しても妊娠が成立しないことをいいます。
もし、卵子提供による体外受精に複数回失敗しているのであれば、着床障害の検査を行うことをおすすめします。

着床障害の検査は、着床不全外来での血液検査で受けることができます。

早期に原因を解明し、より卵子提供による妊娠の可能性を上げるためにも、もしかして、と思ったら早めの検査を受けられることをおすすめします。