卵子提供の際のAIHとは何だろう?

       

卵子提供の他の妊娠手段として、『AIH』というものがあります。
AIHとは『Artificial Insemination by Husband』の略であり、『配偶者間人工授精』という意味があります。
つまり、排卵される日に合わせて夫の精子を子宮に注入させる方法のことを言います。
体外受精となる卵子提供とは異なる受精方法です。
なかなか妊娠できない場合には、排卵日直前に妊娠できるように妊娠行為をする、『タイミング療法』が行われます。

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AIHとはそれで妊娠が叶わなかった場合の、次の段階で行われる治療となっています。
用いられる精子は、夫が自分で人工授精を行う数週間前に採取したものになります。
採取された精子は、人工受精をする前に不純物であったり、雑菌などが取り除かれます。
良質で高濃度な精子のみが子宮に注入されます。

人工受精は、5~10%が成功するとされており、これを6周期ほど繰り返すことで、30~40%が妊娠に至っています。
人工受精をする費用に関しては、およそ1万円程度となっており、病院によって違いがみられます。

これは『一般不妊治療』の1つとされており、体外受精とは異なります。
AIHに向いているのは精子減少症であったり、精子無力症などで精子に異常がある場合、そして精子の進入障害や、精子にトラブルがなくてもタイミング療法を6周期しても上手くいかず、それでも体外受精をしたくない場合などになります。
さらに、女性が排卵できることや、子宮や膣があること、最低でも片側の卵管を通ることができるということも前提となります。

反対にAIHが適さないのは、精子にトラブルがない場合や女性が高齢の場合です。
AIHを行うにあたって痛みを感じることはないでしょう。
あるとすれば、排卵される時に起こるものです。
AIHを行う際にカテーテルが用いられますが、樹脂でできているものであり、素材は柔らかいです。
数秒で処置が終わりますし、AIHとは痛みはないものなのです。
6周期続けても妊娠に至らなかった場合には、第3者から卵子を提供してもらう『卵子提供』などの体外受精に移行することになります。
AIHとは、排卵を促す方法で人工受精をした場合に『卵巣過剰刺激症候群』になるリスクや多胎妊娠をする可能性もあるものであることを覚えておきましょう。

それでも、AIHとは赤ちゃんを待ち望むご夫婦にとってはきっと良い方法となってくれるものであると言えますので、もしなかなか妊娠できないなら、卵子提供の前に『AIH』を行うのも選択肢の1つです。
AIHを試して、それから先の手段として卵子提供を検討するのも良いでしょう。