不妊症定義が国際基準に変更され卵子提供の可能性が広がりそうです

       

不妊治療には、卵子提供の他にも排卵誘発剤を使った薬物療法や卵管・精管の障害に対する治療、人工授精や体外受精など、さまざまな方法があります。

卵子提供やそれらの方法による妊娠の成功率は、人によってさまざまです。
しかし卵子提供だけでなく、どの方法も若いうちから治療を始めた方が、妊娠の成功率だけでなく、母体の安全性も高まります。

母子手帳

卵子提供は、さまざまな不妊治療の中でも特に妊娠成功率が高く、70%から75%という成功率を誇ります。
やはり高齢になれば若い人と比べて成功率は低下します。

これまで不妊症定義は「妊娠を望んでいても妊娠することができない期間が2年を超えていること」とされてきました。
より正確に言うと、「生殖可能な年齢の男女が妊娠を希望し、避妊をすることなく性交渉を行っているにもかかわらず妊娠することのできない期間が2年を超えている場合」とされています。

WHO(世界保健機関)やアメリカの学会では、妊娠できない期間を1年とするのが一般的とされてきました。
しかし、2015年の6月、日本での不妊症定義も1年という国際基準に変更されることが決定しました。

不妊症定義を国際基準に変更する理由としては、近年女性が社会に出て働くことが当たり前になり、それに伴い晩婚化・晩産化が進んでいることがあげられます。

それまでは20代のうちに結婚、そして出産をするのが当たり前でしたが、近年では30代から40代での結婚、そして妊娠が珍しくありません。

そして、そのタイミングでもし不妊が発覚したとすれば、早期に適切な不妊治療を開始することが必要になります。
そのため、日本での不妊症定義も国際基準に変更して1年間繰り上げられることになったのです。

それまでも、不妊に悩む方は1年間妊娠することができなかった場合に医療機関を受診するケースが多くを占めていました。
そのため、不妊症定義が1年間という国際基準に変更されたとしても、劇的に患者数が増えることはないかもしれません。

それまで不妊症であることを意識していなかったご夫婦の意識を変え、早期に治療を開始するきっかけとなる可能性はあります。

現在、妊娠を望むカップルの20%が1年以内、そして10%が2年以内に妊娠することができず、不妊治療を受けているとされています。

また、不妊について意識しているという夫婦の割合は31.3%、子供がいない夫婦においては52.2%に上るといいます。

今回の不妊症定義が国際基準に変更されたことが、こういったご夫婦の意識を変え、より卵子提供をはじめとする不妊治療の成功率を上げ結果になることが望まれます。