最先端不妊治療への危惧

       
卵子提供体験談1

子供が欲しいあなたを全力で応援するバタフライより☆彡

少し前にテレビのニュース番組で、最先端不妊治療として、ミトコンドリア移植が取り上げられていました。
医療やバイオテクノロジーの分野でミトコンドリアが着目されている事に私が気づいたのは、2012年頃でした。アンチエイジングや、妊娠しやすい身体作りに効果がある、とうたわれ、ネット上に広告が載っていて、プラセンタに似た印象を持ちました。医薬品のように宣伝されているけれど、抽象的で、身体のどこにどう効くのか、よく分かりませんでした。

そして、2013年、ミトコンドリアをもっと直接的に意識するようになりました。
何度も流産を繰り返し、年齢、体力、気力、経済的に不妊治療の継続に限界を感じ、最終手段をチョイスしようとしていた頃です。
私が模索していた方法は、卵の核移植です。
なかなか妊娠しない、妊娠しても初期段階で流産してしまう。
その理由は、高齢化により卵の質が低下しているから、と不妊治療のドクターから指摘されていました。

卵子提供体験談2

12年間も不妊治療を続け、ますます高齢になり、卵が弱体化していきました。
自分で妊娠、出産するためにはもう、卵提供を受けるしか方法がない、と考えていた頃、卵の核移植を知りました。

具体的には、若くてぴちぴちとした、良質の卵の核を抜き去り、そこに私の卵の核を注入する、という方法です。
核置換、あるいは細胞質置換、という表現がなされていました。
この、細胞質に存在するのが、ミトコンドリアで、核置換とは、ミトコンドリアを若返らせる事で、妊娠、出産を成功させようとする方法です。

実際に私がおこなって妊娠、出産に成功したのは、卵提供です。卵を頂戴して、そのまま、受精させました。
卵の提供を受ける、という点では核置換と同じですが、卵のアイデンティティが、私なのか、提供者なのか、という点が根本的に違います。

核置換なら、卵は私自身、私のDNAです。
卵の核を入れ替える、この方法は大変難しく、2013年当時、私が調べた中では、臨床データがあるのは、中国で実施された例だけで、子供に重大な障害が発生した、という症例でした。
当時、日本で核置換の研究に取り組んでいる機関は大変少なく、私が把握したのは、2つのクリニックだけでした。
どちらもとても有名な不妊治療専門クリニックでした。

何とかして、自分のDNAを活かして妊娠、出産したかった私は、これら2つのクリニックと連絡を取り、核置換の実現を模索しました。
二つとも私の自宅からは遠かったですが、とにかく、自分の卵で産みたい!!の一心で、新幹線に乗って遠いクリニックまで行き、説明を受けました。
結果は、まだ臨床レベルではなく、研究段階だ、との事で、実現しませんでした。

卵子提供体験談3

安全だとされる体外受精の顕微授精でさえ、卵の中に精子を注入する時に傷がつかないか、と私は不安になりました。
まして核置換は、核を取り出す方法なのですから、遺伝情報に傷をつけず、核を取り出して、別の卵に入れるというのは大変難しい技術なのだろう、と考え、核置換を諦めました。

その後、卵を丸ごと頂戴する、卵提供を受けて、無事妊娠、出産し、現在、育児に奮闘しています。
授かった子供は大変元気に育ってくれています。

不妊治療を受ける人の数が増え続けている中、不妊治療でミトコンドリア移植が行われ、妊娠、出産に成功した、というニュースを見て、私は危惧を抱き、この文章を書いています。
今回、成功した方法は、腹腔鏡手術で卵巣からミトコンドリアを採取し、それを顕微授精の際に、精子と共に、患者本人の卵に注入する方法のようです。
本人のミトコンドリアですので拒絶反応もなく、ミトコンドリアを補強する事で卵を強く出来たのではないか、と考えられます。

私がトライしようとして出来なかった核置換に比べると、自分自身の身体のみを使うので他人の遺伝子は入りませんし、卵そのものはさわらないので安全なようですが、私は不安を感じます。
まず、卵巣からのミトコンドリアの採取の為に、腹腔鏡手術であるからお腹を大きく切る必要は無いとはいえ、お腹に穴をあけなければなりません。
体への負担が心配ですし、費用も相当かかります。
顕微授精の際に、ミトコンドリアが精子と混ざるのですが、その点も気がかりです。

卵子提供体験談4

私が、卵の核置換を希望して、全国の不妊治療機関に核置換を施療しておられるかどうか尋ね、核置換を研究中のクリニックを見つけて、そこへ必死の思いで駆けつけたように、子供を授かる為ならば、どんな努力も惜しまず頑張っている人達に私は伝えたいです。

「最先端の治療には十分、気をつけて下さい」
「最先端治療を受けるなら、世界の臨床データや、身体への負担、経済的負担など、客観的事実を出来るだけ把握して、医療者と納得出来るまで良く話し合って下さい」
「身体と心を十分、いたわって下さい」
「パートナーとも十分、意志疎通をはかり、二人で心を合わせられるようにして下さい」

今回、ミトコンドリア移植による妊娠、出産を成功させたドクターは、本当に、ミトコンドリア移植が原因で成功したのかどうか、まだよく分からない、と率直におっしゃっています。

不妊治療に限らず、最先端治療は臨床データが少ないので、副作用なども不明な事が多いです。
患者も医療者も十分、自覚して欲しいです。

増え続ける不妊治療の患者。「産みたい!」という患者の切実な想いに応えようとして、不妊治療はますます、先鋭化していくと思います。
患者の身体と心と、生まれてくる新しい命を十分守って欲しい、と危惧しつつ、祈っています。
12年間の不妊治療で苦悩した私に出来る事は、自分が体験した事や不妊治療の現場で見聞きした事をこうやって文章でお伝えする事です。
これからも書いていきたいです。今後、卵提供を受けた際の色んな体験も書いていきます。